上海から南方向へ杭州湾をまたいで浙江省寧波(ニンポウ)までを結ぶ世界最長の橋の建設が始まっている。上海北の江蘇省で長江(揚子江)の中央に位置する崇明(チョンミン)島のすぐ上流を橋で結ぶ工事も始まった。上海・浦東地区からトンネルと大橋で江蘇省を結ぶ構想が始動している。崇明島と上海・浦東地区を結ぶ計画では、揚子江の崇明島と浦東新区の北側にある宝山区に属する長興島(その隣に海に突き出た横沙島もある)を利用してトンネルで結びさらに崇明島と江蘇省賞を結ぶ計画もある。
長江(揚子江)が東シナ海に注ぐ最終地点に近い河の中央に崇明島があり、この島は上海の多忙なビジネスを忘れさせてくれる豊かな農村などのんびりした風景に恵まれている。この島をエコツーリズムを基本にしたレジャーランドにしようという構想もある。そして同島の海側の広大な土地を上海市のトップの一族がすでに買ったとうわさされ、すでに投機が始まっており、日本人や台湾、韓国人などもこの島で投資の検討を始めた。
20年ほど前、新聞記者として揚子江に面した宝山製鉄所の取材に出かけたとき、この大工場の前の大河である揚子江の中央部に『崇明島』という大きな島があることを知り、理由もなく「行ってみたい」と考えていた。このほど上海で取材中の休日にやっと行くことができた。中国地図にもでている大きなこの島に上海に住む中国人の友人と彼の車で出かけた。その日は晴れていたが、対岸の『崇明島』ははるかかなたで見えない。
上海のタクシー運転手はこの崇明島出身者が多い。かつて、中国の要人が瀬戸内海を通行する機会があったとき、「日本にもまあまあ大きな川があるね」と言ったという話しを父から聞いたことがある。この揚子江上流にはこのほど三峡ダムが一部完成、貯水が始まった。また揚子江から北部の黄河まで一〇〇〇キロの北への流れを作る『南水北調』プロジェクトもすでに着工された。
宝山製鉄所の近くで発電所の隣にある石洞口というフェリーターミナルから崇明島の新河という港まで渡ったが、所要時間は一時間余で毎時の快速船も出ている。料金は車種にもよるが四十五元(一元は約十五円)であり、運転手一人分の乗船券付き。また上海市街に戻る時は、南門という港から出発した石洞口まで戻った。古い地図では他の場所からのフェリーがあるように書かれているものも見かけるが、現在は筆者が訪問したルートだけが島と上海を結んでいる。しかし江蘇省方面へは宗明島最北部と江蘇省青龍港鎮が結ばれている。これも地図に書かれていた他の場所に行こうとしたらゴミ捨て場に行ってしまった。
『崇明島』をとりまく揚子江の水は海が近いので塩分が含まれ、水の色も青や緑がかった黄色という感じ。しかし『崇明島』の土地は有史以来の揚子江が運んできた肥えた土壌であり、農家は立派で裕福そうな建物ばかりなのは、大市場である上海が同じ市内だから。島に到着するまでに島には船の修理工場のような建造物がいくつか見えたが、他は緑の林に覆われここが上海の一部だとは思えない風景であり、あちこちで羊が飼われていた。島に上陸するとすぐの場所に香港のオモチャメーカーとか健康食品などがモダンな工場を建てて数十件は進出している。『崇明島』の港の近くにはケンタッキーフライチキンが進出し地元客で大盛況だった。
『崇明島』でのタクシーは初乗り五元と、上海の十元の半額だが、家やマンションの価格はこの数年で上海市内と変わらないまであがっている。浦東と結ばれること、また上海の有力者が土地をすでに買い占めている動きなどからすでに『崇明島』の不動産が騰貴している。
『崇明島』の道路インフラの良さにも驚いた。島の隅々までが舗装され、四車線の広い道路も多い。木の緑が多く、島を縦横に運河が通っている。運河では魚の網 つるして時々引き上げるのだが小さな魚は『猫の餌にします』といった。浦東空港の近くでも埋め立てが進んでいるが、『崇明島』でも堤防を築きながら新たな土地を埋め立てで作り出している。崇明島に、初の空港も完成し、管制塔、ターミナルビルもできているのだが、現在は軍関係だけが使っている。
自然はあるが観光資源に乏しいため、『根宝足球基地』というサッカー場が観光客の訪問先となっています。筆者が訪問したときには二つのツアーがあり、上海近郊からの日帰りと同ホテルに一泊する上海近郊からの中国人観光客だった。宿泊者以外がこの『基地』入場に五元の入場料金が必要。上海市出身でかつて中国では著名なサッカー選手だった徐根宝氏はワールドカップで中国が優勝する日を作ることが人生の目標。上海でテレビにもたびたび登場する徐氏が経営するホテルでは簡単に同氏に会うことができる。しかし同ホテルは投資資金が回収できないようで経営は苦しそう。昨年まで貧しい子供は無料で預かってサッカーを教えてきたが今年からは予算不足でやめた。同ホテルは林に困まれ、二つのサッカー場がホテルの隣にある。
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